㈱恋人屋 ONCE!
「ピンポーン。」
無機質な音がオフィスに響く。
「ご指名か…。」
「黒原紗姫さん、ご指名入りました。」
すると、オフィス内にあった大きめのテレビに、ある資料が映し出された。
「これ、お客様のデータ。覚えて。」
「は、はい!」
ここで、私の得意分野の暗記が発揮される。
「五味大地(ゴミ・ダイチ)…19歳、現在大学二年…期間は今日八時まで、と…。覚えましたっ!」
「随分早いのね。」
「はい、得意分野なので!」
「了解。じゃあ、行ってらっしゃい。」
「はい!」
私がドアを開け一階に向かおうとすると、班長が引き止めた。
「何ですか?」
「くれぐれも…好きにはならないでね。それが、ここのルールだから。」
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