㈱恋人屋 ONCE!
「あの、あなたは…?」
「あ、申し遅れましたね。私、安倍晴明(ヤスベ・ハルアキ)と申します。」
そう言って、晴明さんは名刺を差し出した。
「『安倍晴明』…あの、これって…?」
「よく言われます、これは本名なのかって。ですが、これは本当の名前なんです。安倍晴明(アベノ・セイメイ)とは関係ありませんがね。」
「はぁ…。」
「それでは、そろそろ占いたいと思います。ちょっとお手を拝借。」
晴明さんは私の手を握り、何やらよくわからない呪文を唱え始めた。
「…、…、…。」
そして、晴明さんは人差し指を立て、星形に動かした。
「急々如律令。」
晴明さんは目をつぶったかと思うと、再び目を開き、こう言った。
「近いうちに、本当に愛するべき人が見つかります。もうその人とは会っていますがね。」
< 84 / 200 >

この作品をシェア

pagetop