㈱恋人屋 ONCE!
「菜月くん!?」
「とりあえず、貸しだからな。後で返せよ。」
「あ、ありがとう…。」
更衣室で着替えながら私は思った。晴明さんの言っていた人とは、菜月くんのことかもしれないと。
階段を下りると、特徴的な服装の人が目に入った。
「晴明さん…?」
「やはりあなたでしたか、紗姫さん。」
晴明さんは、陰陽師のあの服のままでここに来ていた。
「あの…?」
「いえ、今から定期的な寺社参拝なんです。よろしければご一緒に、と思いまして。」
「は、はぁ…。」
またもや状況が飲み込めなかったが、とりあえず私達は外に出た。
「あの…。」
「はい?」
「やっぱり、その服はちょっと…。」
一緒に歩いていると、恥ずかしい。私は少し小走りで、近くの神社へと向かった。
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