㈱恋人屋 ONCE!
「では、私達はこの辺で。」
「ん?もう行っちゃうの?」
「ええ。他にも回らなければいけない場所がいろいろとあるので。」
「そう…大変ね。」
渉さんの表情が、どこか悲しげに見えた。
「頑張ってね、晴明くん。それに、紗姫ちゃんも。」
「はいっ!」
私達は渉さんに別れを告げた。
「それにしても…。」
「どうかなさいましたか?」
「『どうかなさいましたか』じゃないですよ~。何で私が晴明さんの式神なんですか?」
すると晴明さんは、一呼吸置いてから言った。
「読んで字のごとく、紗姫さんは式神なんです。」
どうやら本気らしい。
「あの…詳しく説明して頂けませんか?」
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