㈱恋人屋 ONCE!
「あれかな…?」
一階に降りると、それらしき人物を発見した。
「受付番号三番の方、窓口までお越しください。」
何か銀行みたいだな、なんて思っていると、その人が窓口の方に歩いて行った。私はそこに向かった。
「では、ごゆっくりどうぞ。」
受付の人が言うと、彼は私の方を向いて言った。
「はじめまして。五味大地です。」
屈託のない笑顔を見せる大地くん。…ヤバい、もう好きになっちゃいそう…。
「じゃあ行きましょう、紗姫さん。」
大地くんの手が私の手を握る。私は顔の紅潮を抑えようとしたが、無理だった。
「ぷっ…はは、顔真っ赤ですよ、紗姫さん。」
「そ、そう…?」
一応気づかないふりはしてみるものの、やっぱり隠しきれない。
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