㈱恋人屋 ONCE!
「式神というのは、私のような陰陽師に仕える妖怪、いわば使い魔です。基本はどのような妖怪でもなることはできます。紗姫さんの場合は…恐らく『産女』でしょうかね。」
「産女…?」
「産女とは、死産の悲しみにより妖怪と化した母親のことです。紗姫さんからは、亡くなった母親への強い愛、そして母親を殺した人物への復讐心が見て取れます。」
「どうして、それを…。」
「にわかには信じてもらえないとは思いますが、普通の人間とは違う妖気を感じ取ったんです。恐らくその二つの感情が、母親だった紗姫さんの記憶を消し、そして妖怪へと姿を変えさせたのではないかと…。」
話を聞きながら、私はおびえていた。
晴明さんは、一体何者なんだろう?私の秘密をここまで知っている。しかも、私が式神だと言っている。怖かった。うまく言い表せないけれど、晴明さんには私の気を狂わせるような力があるような気がして、怖かった。
でも、晴明さんの言っている私の過去は、紛れもない事実だ。晴明さんが本当のことを言っているのだとすると…。
私は、妖怪…?
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