㈱恋人屋 ONCE！

「一礼、二拍、一礼…と。」
さっきと同じようにお参りをし、帰ろうとしたその時…。
「うわっ！？」
晴明さんの手に私の手が当たってしまい、晴明さんが短く叫び声を上げた。
「あ、すいません…。」
でも、何もそこまでびっくりすることないじゃないですか、と言おうとすると、晴明さんが驚愕の一言を放った。
「…誰？」
「へ？」
「えっと…どこかでお会いしましたっけ？」
「どこかも何も、ついさっきまで一緒にいたじゃないですか…。」
「雨明？」
後ろから聞き慣れた声がした。驚いて振り返ると、なんとそこには驚いた顔の晴明さんが立っていた。
「あれ？晴明さん…えっ？」
困惑している私を、さらに困惑させる言葉を「雨明」と呼ばれたもう一人の晴明さんが言ったのだった。
「兄さん？」