小学生と隣の狼さん
そう言って夏花を押す。
すると、夏花は見たことのない真面目な顔をして言った。
「どういう…こと?」
夏花のその言葉を聞いた瞬間、
俺は、夏花を……押し倒した。
「こういうこと。俺は夏花といると野獣になるかもしれないから、もう友達には戻れない。」
両手を俺に固められ、手が自由に使えない夏花は、瞳に少し涙を浮かべて、震えている。
怖いんだろう。
「…や、やだ…。」
ほらな。もう、俺たちの友情は崩れ去ってるんだよ。
「…野獣になるのも嫌だけど、刹那と会えなくなるのは、絶対嫌っ」
俺は、驚いた。
怖がってるだけじゃないんだな…。
ほんとに、成長したな…。
夏花は、ムキになっていて、言葉を言い終わった瞬間、耐えられなくなったのか
泣き出した。
「うっ、うぇぇん」
なぜか、俺は夏花の泣き顔が愛しく思えて、また夏花を抱きしめた。
「…ごめん。夏花。本当にごめんな」
俺が言うと、泣き声がもっと大きくなり、俺は夏花の背中をぽんぽんと叩いた。
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