小学生と隣の狼さん
夏花は、どちらかというと、可愛い部類に入るほうだ。

セミロングに、少し茶色がかかった髪。
二重で、ぱっちりした瞳。
鮮やかなピンク色の綺麗な唇。

まあ、モデルには、劣るけど結構モテそうな顔立ちだ。
そこで、俺は夏花に意地悪く、こんな質問をしてみた。

「夏花こそ、小学生にもなって、好きな人が一人もいないなんて、そうとう、溜まってるだろ笑」
これは、多分事実だ。夏花が五年生のときに、好きな人いるか聞いてみたら、「いるわけないでしょ!」と返された。
だから、六年生になった今でもまだ好きな人は、いないんじゃないんだろうか。

だが、夏花は、案外大人だった。
顔を紅にそめ、少し下を向いた…。
「……は?いるの?」
俺が言うと、夏花はキッとこちらを睨みつけて、
「教えない!」
と言う。
なんだよ。教えてくれたっていいじゃないか。
俺は、無性に腹がたった。
小学生のくせに……っ!
俺なんて、今まで彼女なんて一回もできたことねぇんだぞ!
なんて、変なヒガミをした。

そして、まあ色々と雑談(昨日のテレビの話とか。)をして、夏花は自分の部屋に帰った。

俺は、一人になると深いため息を漏らした。
なんか、夏花に好きな人がいると知ってから、胸?心臓?がモヤモヤするんだ。
ため息を漏らしても、当然それは晴れず、俺は、そのままベッドにダイブし、眠りについた。
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