小学生と隣の狼さん

ガラガラ。
「おーい。座れー。これから、転校生を紹介するぞー。」
担任が来た。
俺は、素早く席についた。
そして、合コンのことばかり考えていた。
カラカラ。
「お。来たな。みんな、注目！」

「……佐伯 汐梨(さえき しおり)です。
よろしくお願いします。」
汐梨。そう名乗った彼女を見た瞬間、俺の心は、奪われた。
まあ、死んだとかじゃなくて、なんつーか、ビビッときた感じだな。
整った顔立ちの美少女だ。これまで、何人の男を振ってきたのだろうか…。
「んー。じゃあ、席は…
ん？あそこが空いてるな。鈴木…鈴木刹那の隣だ。」
……え？
びっ、美少女が俺の隣にぃーーー！？
や。無理無理。俺の隣なんて汚れてしまうよ。だから、もっと美少年の隣に行ったほうがいいですよ！！
なんて、心の中で必死に唱えていると、
いつのまにか、佐伯さんが隣に来ていた。
「あの…鈴木くん…。」
顔を赤らめながら、必死に言葉を発する佐伯さんに、俺の心はときめいた。
「ん？何？佐伯さん。」
俺は、怖がらせないよう、慎重に言葉を続ける。
「よっ、よろしくお願いします…//」
佐伯さんは、照れているのか頭をかいている。
「うん。こちらこそ。」
…決まった…！爽やかな笑顔で、優しく言えた。
途端に、俺は安堵の息を漏らす。
よかったー。失敗しなくて。

その日は、佐伯さんに見とれて過ごした。