恋と空と金平糖 .





 退屈な入学式も終わり、
 体育館の後ろに張られたクラス表に
 人だかりができる。

 「行こっ!うーたん♪」
 「もちろ~ん!」
 あたしたちは人だかりの方へ向かう。
 自分の名前、
 そして友美の名前を探す。
 2年1組、2年2組…… と前から順に
 探していく。

 「…… あった、2年3組!」
 先に見つけたのは友美だった。
 2年3組の紙をみる。
 あたし、三好 唄の文字はない。
 「嫌だ、別れちゃった……」
 先に口を開いたのは友美だった。
 あたしは2年4組。隣の教室。

 ショックだった。
 ずっと隣にいてくれた友美が、
 同じ教室にいないなんて。

 友美はあたしの頭を撫でた。
 その瞬間、こらえていた涙が
 頬を伝って溢れた。
 「ゆーみんがいなきゃやだよ……」
 二人、幼い子供みたいに泣いた。
 変に見られたのかもしれないけど、
 いいんだよ、別に気にしない。

 この時、友美とクラスが離れたことに
 気をとられすぎて気づかずにいた。 
 大切なことに、気づけずにいた。
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