鎖に縛れたお姫様






唇が、不安で震える。




「あーあ。ちゃんと持ってなきゃ」



ソイツはクスクス笑うとゆっくり、あたしが落としたフォークを拾った。



指で器用にクルクル回してる。






・・・・な、なんでここにいるの?




動揺しすぎて上手く笑顔が作れない。


お、落ち着かなきゃ。




ああ、でもなんで?


なんでアンタみたいな奴がここにいるの?




そんなあたしの動揺に気づいたソイツは喉の奥でクックと笑う。





「ダメだろそんな顔してちゃ。君、今、‘的場’のご令嬢だろ?」



「・・・・・・」



「まさか、俺の顔忘れちゃった?」




意地悪く笑うソイツ。




白いスーツに端正な顔立ち。



真っ黒な髪。


涼しげで、雰囲気のある瞳。


皮肉めいた、微笑み。








・・・・忘れる訳ない。














中学生の時、私を殺そうとした奴だ

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