鎖に縛れたお姫様





あたし達は会場の一番端から行ける、小さなバルコニーまで来ていた。


会場からは死角になっててまるっきりあたし達の事は見えない。




そこについて、ソイツはあたしからパッと手を離した。



「どう?俺、結構うまいだろ」


夜風が冷たい。


「だから何?ていうかあんた、何でここにいんのよ!」



わざとらしく、つかまれていた手をパパッとドレスの裾で拭う。



最悪!


ソイツはそれを見て口の端をゆるめた。



「何でって、そりゃあ金持ちだからじゃない?」



「・・・・どこんちの子供?」



「せめてどこの会社?ってきけよ。それじゃあどっかのお母さんだ」



「どこの会社の子供だ!!!?」


「教える訳ないだろ?」



な、何だこいつ!


腹立つ!!






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