鎖に縛れたお姫様
「アンタ、何者なの」
「さあ、何者だと思う?でも――――」
一歩ずつ近づいて、あたしの目の前でピタリと足を止めたソイツは静かに口を開 いた。
「俺はオマエを知ってる。‘星月美優’それとも“的場美優”か?。さあ、どうしてだと思う?」
冷たい。
けど楽しみをどこかにふくんでる。
深い、暗い声。
救いようのない声。
ほんとに、どうしてこんなに冷たい声が出せるんだろう。
その声を聞いた後なら、自分の出す声がどれだけ明るいものか分かる。
「ちなみに、」