鎖に縛れたお姫様






立ってられなくて、小さな噴水のふちにストンと座る。




満月が水にうつってユラユラ揺れてる。



いまでもアイツの不気味な笑い声が頭に響いてくる。





たまらない。



未来がこんなにも来て欲しくないと思った事なんて、ない。




こんなにも、体も手も心も冷え切った事はない。



声に出せない言葉を小さく飲み込む。






――――その時、何かが震える音がして、あたしはゆっくり顔を上げた。



なんだろう。





ぼんやりしながらその音の主を捜したら、それはあたしのクラッチバッグから 鳴っていた。




手を伸ばして、芝生の上に放り出したバッグをあける。






携帯が小さく震えてる。







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