茜色。
「まさか用ないの?ないなら話しかけて来ないで。私暇じゃないんだから。」
言い終わらないうちに、私は屋上を出
「待てよ。」
れなかった。
手首を捕まれ、乱暴に引き寄せられた。
「...ッ痛!!」
一瞬の痛みに顔を歪めた。
「...いたんだよ。お前に、見た目も中身もそっくりなやつがさ。」
雅の伏せていた目が見開かれた。
「ここに来たときは驚いたよ。まさか、あいつにそっくりなやつがいるんだからさ。」
耳元で、彼の心地よい声とリアルな吐息が、私をくすぐる。
「...んっな、なに、よ...そんなの、私の知ったことじゃない...!」