医師とわたしの恋物語
妊娠検査なんて想像もつかない。



妊婦さんのエコーなら、ドラマでは見たことあって


妊婦さんのお腹の上で「ここが頭ですよ~」とかやってるけど、妊娠初期のエコーは違うみたい。




何されるかピンとこないし



今の私は、ただ全てが怖かった。



ただ、下着を脱いだからには

この医師に見られてしまうって事だけはわかる。



それでも、恥ずかしさより今は妊娠を知ることが不安で、恐くて息が苦しくて。



医師と話していて和らいだばかりなのに、また、手足が冷え切ってしまった。




腰を掛けた診察台は


私の胸の高さでカーテンが締まっている。



カーテンの向こうでは


医師が医療道具をセットしたり、作業を進めていた。




「では。診察するので、台が上がりますね。」



医師が告げて、私は声にならない声で


はい。と返事をした。



私が腰掛けてる椅子が歯医者の寝台のように倒れてゆき


ひらいた脚がゆっくりと持ち上がった。




体が仰向けになる。



カーテン越しには若いイケメンな医師が居る。



女医さんの病院を選べばよかったと後悔した。




私は急に恥ずかしさと、妊娠への不安と


色んな感情が入りまじって


私は泣きそうになりながら




震える冷たい両手で、口元を押さえた。





「痛くないので大丈夫ですよ。痛かったら言って下さいね。」



震える私に優しく声を掛けてくれる。



少しだけ、緊張が解けたその隙に



医師は棒型のエコーを私に挿入した。



少し、チクッとした痛みが走った。





医師は、本当はお腹の上からの痛くないエコーをしてあげたいけど


妊娠初期の胎児は小さすぎて、棒型のこエコーじゃないと映らないので。

って説明を受けた。



妊婦さんなら全員が経験している事だと聞いて安心してはいたけど



私のお腹に胎児が映りはしないか



妊娠の不安を抱きながら



サイドにあるエコーのモニターを見た。






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