医師とわたしの恋物語
10代で妊娠した場合に多いのは。



誰にも言えずに


自宅や学校やトイレで出産して放置してしまったり


赤ちゃんポストも有名だ。




中絶手術の費用は大体12万円。



術後の通院を含めたら15万円はかかるから

堕胎も出来ずに放置してしまうのが原因ではないかという。



出産費用となると50万前後かかる。



役所で申請すれば出産一時金が出るため安ければ10万程度で済むし


母子手帳をもらう際に出産までの定期検診の無料券も発行される。



それでも、自己負担もいくらかある。



それでも、金銭面で厳しい場合は



役所で相談すれば出産費用の貸し出しや、生活保護を受けれたり、母子寮に入居したり面倒は見てもらえる。



実際、妊娠したけど身寄りが無くて、男も責任が取れずに逃げてしまい

家も無ければ産む資金もない。



そんな境遇の少女でも生活保護に出向けば緊急保護を受けることが出来、生活も出産も保証される。




日本は低所得者を手厚く面倒を見てくれる国だと。



ただ。



精神的に成長していなければ子育ての苦に負けてしまう。



若ければ、遊びたい誘惑に刈られたりもする。


2、3時間毎の授乳におむつがえに加え、着替え、風呂。


四六時中子供に泣かれて、夜泣きで叩き起こされて、子供は抱いても泣き止まない。


近所からの苦情も来るので、どうにか泣き止ませようと家の中を徘徊し。



泣き止んだから自分も寝ようとすると、また理由もわからず泣き始める。



やっと眠れても、1時間足らずで泣き声で叩き起こされる。



本当に、昼夜問わず面倒を見続けなければならない。



外出はおろか、トイレに行く事すらままならず、もちろんストレスもたまる。



でも遊ぶ事は許されない。



そんな理由で、寝ても覚めても何ヵ月もおさまらない船酔いのような「つわり」や、痛い出産に耐えたのに


無事産まれても虐待したり施設に預けてしまう若者も多い。



人を育てるには自分が育っていなければ、子育てに失敗してしまいがちで


子供が将来引きこもりになったり罪を犯す確率も高くなる。




妊娠、出産は自分だけの問題ではない。




この言葉に説得力があるのも

全て、産婦人科のこの医師が見て聞いてきた事実だった。



あまりに説得力がある言葉に



私は身を持って罪の重さを感じた……。









私は本当に軽はずみだった。




バカだったと、心から反省した。





「不幸になるのは女性です。今後は、気をつけてくださいね。」



私は涙ぐみながら、心から反省してうなずいた。





「僕の話ばかり、長くなってごめんなさい。」



私はいいえと首を横に振った。



初対面の私を、医師がどれ程心配してくれてるのかが伝わってきたから。



こんなに、身内のように親身になってくれる大人は初めてだったから


私は心から反省できたし、この医師には救われる事ばかりだった。




「診察を終わりますね。」





その言葉で




私の緊張が一気に解けた。





妊娠の不安、診察の不安。



私は全てから解放された。




でも、嬉しさよりほっとしすぎた脱力感が強くて


医師にお礼すら言えない。






私が診察台から立ち上がった時



急に立ちくらみがして、台に捕まろうとした手が空振りした。




目の前が真っ暗になった。

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