。A型な執事様。

「驚かせてすまんね。わしはここの店長をしている、星野といいます。」

「あ、あたしは妃芽です。」

「そうかい、妃芽ちゃん。いやぁ珍しいなぁ。あんな若い男の子が望遠鏡を買いに来るなんて。」

「そうなんですか?」

「あぁ。最近、街では星なんてあまり見れないからね。」

おじいさんはすこし悲しそうに笑った。

「だからつい嬉しくてね。お客さんに声をかけるなんて滅多にしないんだけど。」

頭を掻きながら、照れたように喋るおじさんはなんだかすこし可愛らしかった。

「おじさんは星を見るのが好きなんですか?」

「そりゃあ、自分の店を作っちゃうくらいだから。学生の頃から毎日のように星を見ていたんだよ。」

「素敵…。」

「星を見ていると、自分が大宇宙の一員だって実感できるんだ。それにね、今見えている星の光は、何億年も、何千年も前に発した光なんだよ。遠く離れた地球まで、長い長い年月を重ねてやって来るんだ。僕はこんなにも素晴らしいことは他に無いと思うね。」


熱く語る星野さん。何かに夢中になる事って素敵だな…。私はすごく感動した。

「だからね、僕はいつも星を見るときに必ず恋人を連れてきたんだ。」

「え?…こ、恋人ですか?」

「そう。僕にとって、側に大切な人がいるってのは一番の幸せなんだ。きっと星を見るのが好きな人は誰でも側に大切な人を置いて天体観測するんだろうね。」

「へぇ…。」

そ、そうなんだぁ。



「……ところで…彼、なんて名前?」

「芳井……えっと…悠哉だったかな?(うろ覚え)」

あたしはいつも『芳井』って呼んでいるから名前をすぐには言えなかった。



「そうか、悠哉君か。

…きっと彼にとって最も側にいてほしい存在は、妃芽ちゃんなんだね。」




「………え…」


今、何て…?




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