。A型な執事様。
私が芳井をキッと睨むと、お母さんがクスクス笑いながら返事をした。
「あら芳井君、おはよう。朝から大変ねぇ。」
「いえ、もう慣れましたので・・・ボソッ お嬢様のわがままには・・・」
「芳井・・・あんた今ひそかに私の悪口言ったわね!」
「い、いえ。つい本音が…」
芳井はわざとらしく手で口を覆って焦るふりをした。
「あはは、確かに妃芽はわがままだからねぇ〜。芳井君の気持ちもわかるわ(笑)」
「お母さんまで・・・」
私は顔をしかめたまま朝御飯に箸をつけ始めた。
何よ!二人してさ・・・
・・・パクっ。
「んんっ!!!相変わらず美味しい!さすが加納さん♪」
「ありがとうございます。お嬢様に言われると元気が出ますねぇ♪」
加納さんは芳井と同期のメイドさん。本名は加納真里愛(カノウ マリア)。かわいい名前。ちっちゃくて小動物みたいな雰囲気を漂わせている。芳井とも仲が良いみたい。
「真里愛、今日の・・・」
2人はあたしたちの後ろで今日の事について打ち合わせを始めた。
「ごちそうさま!芳井、先部屋行ってるからね。」
「妃芽、準備できたら来なさいよ。」
「はーい。」
私が部屋から出ようとすると、
「・・・ま、待ってください。俺も行きます。」
「別に一人でいいよ。何か打ち合わせしてたけど・・・いいの?」
「もう終わりました。さ、早く着替えましょう。」
「うん。」
芳井は執事としてのポリシーで、私から一時も離れようとしない。今みたいな些細なときでも・・・。
うん、さすがはA型人間。完璧主義者。
部屋から出てしばらくすると、私の携帯が震えだした。
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