。A型な執事様。
誰からだろ…?

ディスプレイには、“着信 希美”と表示されていた。電話だったので急いで通話ボタンを押す。


「もしもし、希美?朝早くからどうしたの?」

『妃芽〜おはよう♪あのさ、前に話してた事なんだけど…』

「ああ、家に来るってやつ?ちょっと待ってね。」

私は携帯を離して芳井に話しかけた。

「あのさ、私の友達が今日家来たいって言ってるんだけど・・・いい?ほら、お出掛けから帰ってからなら暇だし・・・。」

「はい。今日は重大な事が特に無いですから、大丈夫ですよ。」

「ありがと。・・・希美、来ていいって♪でもあたし昼にはいないから夜になるけど。」

『わぁ、ありがとう!!めっちゃ嬉しい♪じゃあ・・・夜頃お邪魔するね。』

「うん、わかった。楽しみにしててね!・・・それじゃ。」

『バイバ〜イ。』

ここで電話は切れた。希美は私の一番の友達。前から家に来たいって言い続けてたから、今夜は特別に行っても良いことになった。


「希美さんですか?」

「うん、今日家に来るからよろしくね。」

「了解です。」

あたし達は部屋に入った。そして着替えをすませ、支度を整えた。・・・さすがに着替えの時は部屋から芳井を追い出したけど(笑)

「ねぇ、この格好変じゃない?」

「・・・大丈夫ですよ。」

芳井は笑いながら答えた。

 じ〜・・・っ

「・・・・・・ちょっと、見すぎだって。」

「あ・・す、すいません!ついボーッとしちゃって・・・」

慌てる芳井。芳井は見た目は大人っぽいけど、以外に子供っぽく無邪気に笑ったり、失敗をして焦ったりすることもある。

そんな一面を可愛いなんて思ったり・・・。

「じゃ、行きましょう。」

あたしたちが駐車場へ行くとすでにお母さんの姿があった。・・・早っ!!

「お母さん!!準備できたよ〜♪」

「早かったわね。じゃあ行きましょ。運転手さん、出してちょうだい。」

こうしてあたし達の、行き先のわからないお出掛けが始まった。

この時から運命の歯車は回り始めていたなんて…私は思いもしなかったんだ―――。


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