。A型な執事様。
「やっと揃いましたね。」
「はぁ〜、疲れた!……それで、芳井欲しいものあるんでしょ。何なの?」
「天体望遠鏡です。」
サラリと言う芳井。
天体望遠鏡…?
「そう言えば、前に望遠鏡で星見てたよね。」
「小さい頃から好きだったんです。星を見ること。」
「じゃあ、お店行こっ。どこにあるか知ってる?」
「はい。こっちです。」
芳井に道案内される。ちらっと芳井の顔を見ると嬉しそうだった。
天体観測かぁ。素敵な趣味…。芳井って以外にもロマンチストなのかな?(笑)
「ここです。」
「わぁ、すごい…!!」
入ったお店の天井はプラネタリウムのようにライトアップされてて、中には沢山の天体望遠鏡が飾ってあった。
「わ、これFX4000の最新だ!こっちはスターツの……」
芳井は子供のように興味津々。あたしにも自然と笑みがこぼれた。
「お嬢様、」
芳井が手招きする。
何だろ?
「これがずっと欲しかったんです。」
芳井が指差すのは何とも本格的な天体望遠鏡。
「最新のやつで、惑星まで見れるんですよ。だからちょっと高くて…。奥さまには本当に感謝してます。」
「すごい!惑星まで見れるんだ…。ねぇねぇ、あたしも星見たいな。今度天体観測しようよ!!」
「いいですね。家に届いたらすぐやりましょう。」
「やった♪あたし天体望遠鏡なんて初めて。」
「初めてじゃないですよ。前、一緒に天体観測したじゃないですか。」
「嘘!!してないわよ。」
「ホントですよ。ほら、確か4年くらい前に…」
「そんな昔のこと、覚えてないに決まってるでしょ!?」
「まぁ、そうですけど…」
芳井はちょっとぶすっとしながら奥へと入っていってしまった。
な、何よ。覚えてるほうがおかしいってば!!
「ははっ、仲が良いねぇ〜♪君たち恋人同士?」
「なあぁっ!?!?ち、ちちち違います!!」
急にそんなことを言われてあたしはかなり驚いた。振り返って見ると、そこには50歳くらいの眼鏡をかけた白髪のおじいさんがにっこりと笑いながら立っていた。