君は私のすべて
「じゃあ何?喋ってくれないとわかんねぇんだけど」


何を言っても喋らないそいつにいい加減痺れを切らしてちょっと怒り気味にそういった。

すると、

「ご、めんなさいっ…お願い……ないでっ…」


絞り出したような声でやっと発した言葉はこれだった。

後半は小さすぎてなんて言っているのか分からなかった。

とりあえず、こいつを落ち着かせようと思った俺は頭を撫でようとしたが…


ビクッ

頭に手を伸ばした途端、ぎゅっと目を瞑って体を震えさした。

それでも、俺はそこで止めずに優しく撫でてやると、そいつは驚いたように俺を見上げた。
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