君は私のすべて
「はい、これは優愛の分な」

俺はリビングのテーブルに出来たての目玉焼きが乗った皿と、お味噌汁が入ったお椀と、ご飯の入ったお茶碗を置いてそう言った。

優愛は何も言わなかったが、目をキラキラと輝かせているところを見ると、喜んでくれているのだと感じ何故か嬉しくなった。


「頂きます」

いつもは言わない言葉を口に出してから食べ始めた俺は、いつまで経っても食べ始めない優愛に疑問を感じて、


「食べないのか?」

そう聞いた。

しかし当の本人はと言うと、俺の声も聞こえないぐらいに未だに目を輝かせている。

だから俺は、

「そん…いや、なんでもない」

そんなに珍しいか?これ。

そう言おうとしたが、慌ててそれを呑み込んだ。

もし本当に虐待されているとしたら、今の言葉で傷口をえぐってしまうと思ったからだ。







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