姫の笑顔
「…ミリヤ、今笑った…。」と柔らかい声で言った。
「…?」今度はわたしが黙ってしまった。わたしでも笑うのに。
「ミリヤ、ここに来てからちゃんと笑うの始めてだぞ。」…そうなのかな?
「わたしには全く…」と言葉を濁すと
「愛想笑いは有ったが、心から笑うのはな?…と言っても微笑んだ、が正確か。」と言った。
お兄さま、凄く嬉しそう…。わたしが微笑んだだけでこんなに喜ばれるだなんて…
「長い時間喋ってたな。明日な。」そう言って立ったから私も立ち、扉の前まで見送ると
「はい…お休みなさい。お兄さま」と言ってお兄さまは部屋を出た。
わたしはテーブルに置いてある書類に手を伸ばし書類に目を落とし、中身を覚え始めた。
内容を完璧に覚えたのは深夜だった。