姫の笑顔
「問題はまだある。…ミリヤ付きのメイドだな。」俺が言うとエルは
「彼女に委ねるしか無いでしょう。問題はもう1つ。」エルが言いたい事は分かる。…ユウキがミリヤに恋心を抱いてること。ミリヤがユウキの背中に隠れた時、気付いた。…あれは大切な一人の女性を庇う男の顔だった。
「分かってる。だがミリヤから引き離してみろ。…ミリヤは人を信じなくなるぞ。」…それだけは一番回避したい事だ。
「兄の俺ですら、ミリヤに信頼されてない。…この城の中でミリヤが一番信頼してるのはユウキだ。…これは俺の勘でしか無いが、ミリヤもユウキと同じ気持ちなんじゃないか?ただ気付いて無いだけで。」普通、ここ2~3日で会った異性をあそこまで信頼を寄せるか?と続けた
「陛下に伝えますか?」エルの顔は固い。
「あぁ。だが、今日一日に起きた事を全部話してからだな。…ミリヤが泣く所は見たくない。それ以前にミリヤにとって城の生活は今まで居た所と正反対だ。…ストレスだけは少しでも軽くしたい。ミリヤの性格だと溜め込んで体調を崩すのは目に見えてる。」不安定なミリヤの性格は直ぐに壊れる硝子製品みたいだ。
ミリヤが育った日本にあるとても綺麗な硝子製の青いグラスを思い出した。
「取り合えず今はミリヤのお披露目を成功させることを考えよう。」それで話しは終わり、翌日を迎えた。