姫の笑顔
ー本選当日。控え室ー
大きく深呼吸をいていた。
…緊張する。
人、超満員だった。選手にコーチや身内、それにレコード会社にマスコミ、審査員。
緊張でパニックになりそう…。
「ミリヤ。」そう言ってユウキが抱き締めてくれた。(控え室にはわたしとユウキしか居ない。選手につき、一人なら控え室に入ってO.K.だって。)
ドクン…ドクン…とユウキの心臓の音と抱き締めてくれているユウキの体温、ユウキの持つ爽やかな香りが落ち着かせてくれる。
ゆっくりユウキが優しく背中を叩いてくれる。
耳元でユウキが
「ミリヤなら大丈夫。いつも通り、ピアノを楽しめば、な?」と優しい声音で言ってくれた。
わたしはユウキを見て
「うん。…ユウキ、終わったらぎゅ~して?」と言うと、ユウキは微笑んでくれて
「勿論。さぁ、行ってこい。」とわたしを離した。