【完】君と、前へ。
まだ付き合っていないあの夏の日のこと
少し薄汚れたワイシャツをまくりあげ、
自転車を漕ぐ君。
そしてその後ろに
「奈津っ!」
白いセーラー服をまとった私。
「奈津っ、しっかりつかまれよ!」
「だって…ちょっと恥ずかしいっ」
君が漕ぐたびに近ずく塩の香り
私が近ずくたび香る君の香り
君の腰にぎゅっと腕をまわすのが恥ずかしくて、嬉しくて
「あぶねぇって言うのにー…
ほら!もう着くぞ!!」