【完】君と、前へ。
君と、の思い出
「ううー…、春も近いのにまだ寒いねー…」
「まあー…こんだけ暗いし、海辺だし寒いだろうなっ」
まだ今よりも幼く見える海斗がニコッと笑うけれど、
その笑顔は、作り物のように感じた。
「っ……」
「おいっ!?奈津!?」
急に靴を脱ぎ出し、私はすね辺りまでの深さの海に足をつけた。
「……寒い…」
「当たり前だろっ…ほら、上がれよ」
困った顔を浮かべる海が、大きな手を私に差し伸べる。
「……いや…」
「…奈津…わがまま言うなよ…」
「いやっ…!!!!」
だって…