正義のヒーロー
「――と言ったものの」
朝日奈を改正させる術は思い当たらない。
むしろ思い当たる訳がないのだ。
冷房のきいた電車に揺られながら、肩を落とした。
窓から差し込む日差しを受けながら、あいつは土手でも歩いているのだろうなぁ、と思った。
こんな暑いのに徒歩通学を貫き通す神経すら理解できない。
そもそもあいつの思考を理解するなんて不可能に近い。
朝日奈の変人っぷりは今に始まったことではないから。
長年に渡って培われた結晶が朝日奈なのだ。
授業中はずっと上の空。
よく虫とか木とか観察して、みんなから置いていかれてるし。
こないだなんて傘もささずに玄関に立ち尽くしていた。
(結果風邪を引いて、次の日学校を休む始末)
だからあいつを改正さすなんて至難の術。