正義のヒーロー





「あらー、水嶋ちゃんじゃないの」
「ご無沙汰しています、おばさん」
「ほんと、久しぶりよねー」

インターホンを押すと、十秒と経たない内に朝日奈のお母さんが出てきた。
会うのは半年振りくらいに思える。

目尻や口元に小さな皺を作って笑うおばさんの顔が、ちょっぴりスキだったりする。


「急に押し掛けてしまってすいません。あの…真殊君おられますか?」
「あら、ごめんなさい。まだ帰ってきてないのよ」

「そう…ですか」


しまった!
よく考えれば、こんな時間にあいつが帰ってきているはずがない。

モンスターとか悪者とか、とにかく平和を乱そうと思っている奴を倒すのが、朝日奈の役目なのだ。
家の中でじっとしているだけでは、悪者は減らない。
平和は守られない。
(朝日奈の思考を考えての推測だけど)


対象の相手がいないのなら、何にもできない。
私は頭を一生懸命使って、打開策を考えた。

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