正義のヒーロー
無茶苦茶探偵
「…ぐぅーー」
木漏れ日のさす木々に囲まれて、夢と現実の狭間を行ったり来たり。
季節の変わり目はいつだって心地がよい。
「―――――っで!」
頭に激痛が走り、意識が朦朧とした。
覚醒しきっていない頭で、何が起こったのかを理解しようと考える。
けどやっぱり分からない。
「どこいったかなー?確かこの辺りに……」
少しだけ遠くから、誰かの声が聞こえてきた。
近くに人がいるのかもしれない。
「あ」
草むらの中から誰が出てきた。
物腰が柔らかそうな男の人だ。
年は二十歳前半って感じ。
こんな若い人が草野球に混じるなんて珍しいと思った。
「もももも、もしかして…いや、もしかしなくても…あの…」
「当たりましたよね?」
「当たる?宝くじに?まさか」
「違いますよ!」
ボールにです、と男の人は言った。
何のことを言っているのかさっぱり分からない。
「だって、頭から血が出ていますよ」
男の人が近づいてきて、僕の頭をやんわりと触る。
その瞬間、激痛が走った。