正義のヒーロー
「んねぇ。それって普通、バッターの人が僕に謝るべきじゃないかな?」
「えっ?」
そう、それだ。
口にした途端、突っ掛かっていた疑問が取れてきた。
バッターの手で運ばれて僕の頭に当たったボールは、ピッチャーのせいではない。
場外満塁ホームランを打たれたピッチャーも、むしろ被害者だ。
確かにに甘い球を投げたのなら、ピッチャーにも少しくらいは非があるのかもしれないけど。
「よし、謝ってもらおう」
「そ、そんな唐突な…」
「アンタがへこへこ謝ったから、なんかそいつがアンタに謝らなくちゃいけないような気がしてきた」
「無茶苦茶ですよ!」
私はいいですから、などと、また物腰柔らかく言うので、余計にバッターは謝るべきだと思えてきた。
「僕は昔から無茶苦茶だよ」
立ち上がり、男の人の腕を握って立ち上がらせた。
頭の痛みが甦ったが、今はそんなことどうでもいい。
とにかく、バッターに謝らさせる!