正義のヒーロー
幼稚園ヒーロー
一ページに出てきたのは幼稚園の写真たちだった。
家が向かい側の隣の隣だけあって、私たちは赤ん坊の頃からの知り合いだった。
(正確には母親同士が知り合いだったから)
私と映っている写真が主で、ちょくちょく当時の友達が映っていた。
恥ずかしい気持ちと、懐かしい気分が入り混じる。
朝日奈一人で映っている写真は私が撮ったものだ。
その中の一つに、思い出深い写真があった。
目蓋を閉じると、今でも鮮明に浮かんでくるほど印象に焼き付いている。
朝日奈が1番の旗を掲げて、へらへら笑っていた。
本当は泣きたいくせに、無理して笑っている。
顔中砂塗れで、顎がほんのり赤くなっていた。
あれは、幼稚園中学年の時の、体育祭の五十メートル走だった。