正義のヒーロー
「みーちゃん。オレ、一番にゴールしてくるね!」
まぁくんがへらっ、と笑う。
私はデジタルカメラを持ち直して、かまえた。
「でも、まぁくんと走る子、隣のクラスで一番速いよ」
カメラのシャッターボタンを押した。
うつしたのはまぁくんじゃなくて、隣のクラスの子。
自分が撮られなかったのが分かったのか、まぁくんのほっぺがふくらんだ。
「オレ以外撮っちゃダメ!」
その子とカメラの間に、まぁくんが入ってきた。
「オレはヒーローなんだから、そのカツヤクを残すのがみーちゃんのお仕事なの」
「まぁくんヒーローだから一番になるの?」
そうだよ、と胸をはるまぁくんを、カメラにおさめた。