正義のヒーロー




「みーちゃん。オレ、一番にゴールしてくるね!」

まぁくんがへらっ、と笑う。
私はデジタルカメラを持ち直して、かまえた。

「でも、まぁくんと走る子、隣のクラスで一番速いよ」

カメラのシャッターボタンを押した。
うつしたのはまぁくんじゃなくて、隣のクラスの子。

自分が撮られなかったのが分かったのか、まぁくんのほっぺがふくらんだ。

「オレ以外撮っちゃダメ!」
その子とカメラの間に、まぁくんが入ってきた。

「オレはヒーローなんだから、そのカツヤクを残すのがみーちゃんのお仕事なの」
「まぁくんヒーローだから一番になるの?」
そうだよ、と胸をはるまぁくんを、カメラにおさめた。

< 36 / 59 >

この作品をシェア

pagetop