正義のヒーロー



まぁくんは一番の旗をもらっている。

「まぁくん!」

近づいたとき、まぁくんの後ろ姿は砂だらけだった。
私が近づいてきたのが分かったのか、まぁくんが振り返る。


顔には砂がいっぱいついて、あごがうっすら赤かった。
血が出ている。


「みーちゃん。オレ一番だよ!」

泣きだしそうなのに、まぁくんはヘラっと笑う。
こけたことが、すごく痛かったんだろう。
でも、旗を自慢げに振って、私に向かってピースをする。

それを、写真を撮ってくれの合図だと分かるのに、時間がかかった。


「まぁくん。はい、チーズ」

フラッシュの暖かい光に照らされた、泣きだしそうなまぁくんが写った。





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