正義のヒーロー
「ちょ、ちょっと何しているんですか!」
「ベルを押した」
「じゃなくて!こんな手書きの古びた地図を見せたところで、相手にしてもらえる訳がっ…」
《どちら様でしょうか?》
インターホンから返事が返ってくる。
それまでワンワン吠えていた太陽さんが、急に黙った。
「如月です。単刀直入にいいますが、こちらの庭に少し用がありますので、いれさせていただけませんか?」
《……今いきます》
ピッ、とインターホンの電源が切れる音がした。
きっと画面が見えるタイプだったのだろう。
家主に、僕たちはどのように映ったのだろうか。
しばらくしてから、若い女の人が出てきた。
太陽さんよりかは年をいってると思う。
でも、とても綺麗な人だ。
まさに、大和撫子とは、こういう人のことを言うのだなぁと思った。