正義のヒーロー

「アナタたち何者なの?」

「太陽と申します」
「如月です。探偵をしています」

女の人の歪んだ顔が、驚きに変わる。
隣で息を呑む気配がしたから、たぶん太陽さんも同じような顔になっているだろう。


「た、探偵さんが、どのようなご用件で?」
嫌味を含んだ声音になった。

効果があったということだ。


「人を捜しているんです。調査上、詳しいことは言えませんが、この家の位置が関係しています。ですから、こちらに木があるか、確かめさせてください」

僕はできるだけ、威厳があるように言う。
自信を持ってはっきり言い切り、嘘を躊躇なく吐く。
でもこの場合、半分くらいは本当のことをいっている。


どうやらうまく伝わったようで、女の人は押し黙った。

「……分かりました。どうぞ」

ゆっくりと門が開き、ようやく招き入れられた。


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