正義のヒーロー




「探偵とは、どういうことですか?」
女の人のあとをついていきながら、太陽さんに耳打ちされる。

「もちろん嘘だよ。僕はごく普通の高校生」
「知ってますよ。なんで嘘をつくのですか?」
「愚問だね」

そこでようやく、自分で考え始めた。

人間は考える前に聞く習性がある。
理解できていないのが嫌なのか、知っていないという仲間外れが嫌なのか…。

「探偵だったら中に入らさせてもらえるからですか?」
「そうだね」

「中に入るためだけに嘘をついたんですか?」
「そうだよ」
結局疑問系を数回ぶつけられてけど、太陽さんにしては頑張ったと思う。

「そんな…」
嘘をついたのが余程嫌だったのか、それっきり静かになった。

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