正義のヒーロー




「さて、帰るかっ」
店内の時計を見ると、もう10時前だった。



店を出ると、夏特有の湿った生暖かい空気が押し寄せてきた。
店内の冷房が少しきつかったから、余計暑く感じる。


「朝日奈くんの家、門限何時?」
「特に門限とかはないです。ただ、連絡だけでも先に入れたいんですけど」

「いんや、それじゃ送るよ。明日もまた会えっしな!」


あ、また明日も会うのか…
そんな言葉が頭を過ったと同時に、会う必要があるのかと思った。

今日たまたま草野球の前で出会い、なぜかバッティングを一緒にして、さらに晩飯まで一緒にしただけだ。
いや、そもそもバッティングに行った意味すら分からない。


なんで夜霧は俺と一緒に行動してるのだろう…

変人なのは、火を見るより明らかだが、不審者ではなさそうだ。
もしかすると仲良くなってから誘拐とか殺害とかされるのかもしれないが。

ヒーローが殺されるだなんて可笑しな話にも程がある。
その時は格好良くやっつけるまでだ。





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