見えなかった世界~聞こえない世界~
ふらふらと病院を歩いていると中庭があった。
俺は何となく中庭に出た。
ふと前を向くと木に背をもたれて座っている少女がいた。
今にも消えてしまいそうな儚げな女の子。
何故かその女の子から目が離せなかった。
「ねえ君。名前は?」
俺は無意識に女の子に近づき話し掛けていた。
「・・・・」
しかし、女の子はこちらを見向きもしない。
俺はその事に怒りを感じた。
「おい。」
怒りに任せて彼女の肩を掴んで言った。
彼女は驚いたようにこちらを見た。
そしてハッとしたように突然立ち上がり走って消えてしまった。
俺はただそれを呆然と見つめるしかなかった。