あなたには聞こえますか…………
最後の被害者を病院に運びいれた時、先

程レストランで見た女性がいるのが、雪

の目に止まる。



「先程レストランにいた方ですよね?」



雪は話しかけていた。



「はい……友人がみんなあそこで倒れてし

まって………大丈夫ですよね、みんなは」



きっと、付き添いとして他の隊の救急車

に一緒に同乗し、様子を見に来たのだろ

う。



「いまは、あまり話せないかもしれませ

んが、少し聞かせてください。

レストラン内で何か不審なことでも?」



「いえ……私は全く……分かりませんで

した……ただ、友人達は音が……って叫

びながら倒れて……」




「お話、ありがとうございました。

ご友人達には精一杯の処置を致しました

し、今も先生達が懸命に処置をしてくれ

ています。

あとは回復してくれることを期待してい

ます」



そう言い残し、雪は救急車内に戻って行

った。



(やはり、そうだ。)


雪は口には出さず、頭で考えていた。




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