あなたには聞こえますか…………
遺体の周りは、特に争った形跡などなく

血痕なども見当たらない。



部屋の様子も荒れた感じは全くなく、飲

みかけていたと思われるコップと携帯が

机にあっただけだったのだ。





ただ、雪は違和感をすごく感じていたの

である。



「綺麗すぎる……」



ポツリと雪は呟いていた。





この仕事を始めてから当たり前のように

見ることになった、壮絶な災害現場の光

景ではなく、その遺体は逆に綺麗すぎる

のだ。





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