あなたには聞こえますか…………
雪達が、全ての被害者の搬送を終えて、

署内に戻ったのは夜間になっていたので

ある。



報道では先日の身柄を確保された人物は

世間を賑わし、混乱を招くために行っ

た愉快犯だと報じられいた。



あまりにも愚かな虚偽の犯行。

雪はぼんやりと分かってはいたものの、

その人物に怒りを覚え、呟いていた。



「なにが楽しいんだ……

情けない……

人をだますことをして……」



一方その頃、

人手の多く行き交う、繁華街に設置され

たテレビモニターを眺める一人の姿があ

った。



「ほんと……愚かな……やつばかり。

世の中には、そんなやつがほとんど……」



そう呟くとその場から姿を、ゆっくりと

消していた。






< 129 / 397 >

この作品をシェア

pagetop