あなたには聞こえますか…………
店内にはテレビは置いてなく、昔ながら

のレコードから曲が流れていた。



温かい雰囲気の店内。

優しい表情を浮かべる老夫婦。


そんな店内で二人は周りを気にせず話し

ていた。



「ゆりの家にこないだ行ったんだー」



「ん? 何しに?」



「新しい携帯を買ったとか言って見せび

らかしてたからさ。でも死んだらいらな

いじゃん? だからひょっとしたら、貰

えるかなーなんて!」



「ひどいやつー! まぁ俺もか!

少し、からかい過ぎたかな」



「そうよね。ゆりがあとから横に入って

来たんだし、私ら悪くないない! ね!

私付き合ってるのは知らなかったみた

いだけど、拓也の事を私、気に入ってる

ーやさしーとか、遠回しに伝えてたんだ

けど!

なのに、告白とかムカついたしぃ。

でも、死んじゃうとなんか罪悪感でるも

んだね……まぁ私には関係ないけどさ」



「まぁなぁ。

でもさすがに驚いたよな。

死ぬとかさ……

まぁ、友達の気に入っていた男を横取り

しようてした天罰じゃね?」



「そういう拓也も、最後はゆりに飽きら

れてたけどー! キャハハ」



「うっせぇなぁ!」



こういう温かい店内には、ふさわしくな

い会話が響いていた。



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