あなたには聞こえますか…………
「はい? そうですが、あなたは?」


「申し遅れました」



そう言いながら、手帳をみせる義信の姿

があった。



「警察の方……もうあの事件に関しては

思い出したくないですし、全てお話しし

たと思いますが……」



「心中はお察し致します。

しかし亡くなられたお友達の為にも、

ご協力をお願いできませんでしょうか。

それに、数少ない生存者の方のお話を、

私も直接聞きたく思いまして」



義信は引き下がるつもりなど、全く考え

てはいなかった。
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