あなたには聞こえますか…………
「しかし、嘘などなく全てお話ししたと

思いますが……警察の方には……」



「えぇ。聴取内容を私も拝見はしました

が、そこに嘘偽りがあったとは思ってお

りませんよ。

何故あなたにはあの時、音が聞こえなか

ったのか、その点をもう少しお話しして

いただければと思いまして」



「それは……私が聞きたいくらいです。

周りの人達は、音が……やめて……っ

て叫んでいましたが、私には全く……

何も聞こえては来なかったので……

周りの人達が次から次と倒れて行く光景

ばかりで……」





そう話す新山は、恐怖と哀しみ、絶望が

頭の中をまた、支配していっていたので

あろう。

新山の目からは、涙が溢れて来ていたの

だ。








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