あなたには聞こえますか…………
第27章……喫茶店
義信は3度目となる研究施設に足を踏み
入れていた。
(情報が出てますように)
その義信の願いも虚しく、過去の個人情
報は出てくることはなかった。
「もうかなり前の情報だしのう。
在籍しておるものは分かるんじゃが。
いなくなったものは、破棄しておるみた
いやの」
「そうですか……」
「まぁ、あやつが犯人とは考えにくいが
の。優しい性格だったように覚えておる
からの。まぁ過去の話じゃが」
「その方と他に親しかった方はいらっし
ゃらないのですか?」
「んー。それは分からぬが、当時のここ
の所長なら知ってるかもな。
もうだいぶ歳も重ねただろうし、
今はどうなっとるかは分からぬがの」
その方の当時の連絡先を聞き、
義信は研究施設を後にしていた。