あなたには聞こえますか…………
明らかに動揺した様子で、雅代は

返答していた。



「いまさら、そんなこと……

しかも私とはもうすでに別れた後の事

ですから!

お話がそれだけなら、失礼します!」



「あーいえいえ。

疑い等で来たのではありませんから、

心配なさらずに。

ただ、元旦那様の研究について少し興味

がありましてね。

元旦那様亡き今となっては、お話を聞け

る方が限られてしまいまして。

少しで構いませんので、お付きあい願え

ませんか?」



義信は言葉を選びながら、ゆったりとし

た口調で、話しかけていた。

表情は笑顔を保ちつつ……

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