あなたには聞こえますか…………
外出はなかなか行けないのだろう。

こんな時代には。



義信はそう考えていると、玄関先に

若い女性が出て来ていた。



奥さんが娘さんに事情を話し、連れてき

てくれたのだ。



「こんにちは」



「すみません。いきなり。お時間はとら

せませんので」



「いえ。花ちゃんの事ですよね?」



「はなちゃん? あだ名でしょうか?」



「ええ。今は、私も分からないですよ。

どこにいるかも……

あれ以来、私は話す機会もあれきりは無

くて……

偶然街で、はなちゃんが離婚されたお母

さんと話してたのを、見かけた事がある

くらいで……」



「そうですか……ありがとう……

こんな時代ですから無事だと良いので

すけどね」



そう伝えると、義信は車に乗り込んだ。

やっぱりあの元母親、隠してる事がある

な。



義信は、元母親の元へと急いでいた。

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